神聖巫連盟を出国し次の国へ向かう。愛鳴之藩国はすぐ隣の国であった。
 京都に敷設された環状線の駅に戻り、そこから愛鳴之藩国行きの路面電車に乗り換える。この路面電車は常に地面よりワンステップ分低いところを走っている。乗降する人のことを考えた完全なるバリアフリーの交通機関であった。
 歩道に目をやれば手をつないで幼い風貌のメードが子供を連れて歩いていく姿が見られる。あの年代の子供をみると、農地を作った時のことを思い出す。あれは本当に楽しい日々だった。青年の脳裏に当時の様子が浮かんだ。それは本当に暖かい日々だった。


 この国の騎士団はフレイムリッター、つまり炎の騎士と呼ばれる。パイロットをこなせる飛行剣士の中でも優れた者だけがなその名を名乗ることが許され、騎士団の一員となる。それを憧れる飛行剣士は多い。
 飛行剣士の少年はその憧れる者たちのひとりであった。

「剣を教えていただけますか?」
 遠い異国より訪れた旅人、それだけでも十分なインパクトがあったが、それ以上に暁の円卓という白兵最強の名を響かせる東洋の神秘の国の国の民であるということは大きな後押しとなった。
 その一言は、青年にとって衝撃的なものである。これまでは教えてもらうことばかりであり、教えるということには全く経験がなかったのである。

 人に教えるということの苦闘の日々がが始まった。




 愛鳴之藩国。一般的にはナースメードの国、僧侶の国として知られる。子供の守護者を歌う愛鳴藩国と独自の歩みを続けていたえ?藩国が合併してできたこの国はその僧侶の力もあり、帝國でも比類ない治療大国である。低物理域では特に世話になる可能性は高い国であった。
 レムーリア遠征後においてはレトロライフが強化されたこともあり、直接的な能力も底上げされている。そこでこの騎士系等にはやはりその騎乗技術を学ぶべきだろうと考えられる。騎乗技術は人馬一体として戦場をかける際に大いに役に立つだろう。