小笠原小旅行4〜死の海の王女〜

芝村:呼ぶのは誰だい?



風杜神奈:トラナ王女でお願いします。



芝村:はい。



芝村:イベントは?



風杜神奈:はい。デートというか一緒に遊びに行きたいです。



芝村:OK



芝村:2分ほどお待ちください。



風杜神奈:はいお願いします。



芝村:/*/



芝村:今日は、休日です。



芝村:トラナは帽子を被って、ちいさなポシェットをもっいています。



風杜神奈:「トラナ、どこへ遊びに行こうか?」



芝村:トラナはこくこくと首をふった。



風杜神奈:「トラナは、どこか行きたいところある?」



トラナ:「海」



トラナ:「カニ」



風杜神奈:「じゃあ、海に行こう!」



芝村:トラナは大きくうなずいた。



風杜神奈:海は秋になって様相は変わっていますか?



芝村:毎日海を見ているが、それでもなお、海が好きらしい。



芝村:まだ泳げはするけど、水温は23度ほどだ。



芝村:冷たいかも



風杜神奈:泳ぐにはちょっと冷たいですね。



芝村:そうだね。



風杜神奈:「トラナって、ほんと海好きだよね」



芝村:トラナは不思議そうな顔をしている。


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トラナ:「うみ、きらい?」



風杜神奈:「ううん、そうじゃないよ。私も好き」



風杜神奈:「私は小さいころはあまり近くに海はなかったけど、今ならこうしてすぐにこれる」



トラナ:「海は、なんでもあるよ」



風杜神奈:「なんでも?」



トラナ:「うん」



トラナは海岸から海を見ている。



芝村:遠い、何かが見えている気もする。



風杜神奈:どこか眺めのいいところはありますか?



芝村:髪が風に揺れている。



芝村:今の時間なら、前いった岩に登れるよ。



風杜神奈:「ねえ、トラナ。あの岩、行ってみようか?」



風杜神奈:指差します。


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芝村:トラナはうなずいた。



トラナ:「カニ。いるかな」



風杜神奈:「うん、いるといいね」



風杜神奈:「海風が気持ちいい……」



芝村:トラナはスカートのすそを持ち上げながら、歩いている。



風杜神奈:転ばないように気をつけながら横を歩きます。



芝村:トラナの近くにいると風景が違って見える。



風杜神奈:どんな感じですか?



芝村:いくつも沈んでいる建物が見えるよ。



風杜神奈:六合のような感じですか?



芝村:そうだね。



芝村:六合に見える。彼女は繋がってるのかもしれない。



風杜神奈:なるほど。



芝村:トラナは何気なく、浮かんでいるあひるのおもちゃを手に取った。



芝村:引き寄せた。確かにおもちゃは手の中にある。


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風杜神奈:「あひるのおもちゃ?」



風杜神奈:小笠原の海にあったものではないですよね?



芝村:そんなものはなかった。



トラナ:「うん。アヒル」



風杜神奈:「トラナ、それってどうしたの?」



トラナ:「落ちてた」



風杜神奈:「どこから流れてきたんだろうね……」



トラナ:「海にはなんでもあるから」



風杜神奈:「うん」



風杜神奈:トラナはこれを見てたんですね。毎日。



芝村:トラナのそばでは、海は廃墟に見える。



芝村:死の海だ。あるいは、死の中にいる海かも知れない。



芝村:そうだね。トラナは毎日見ている。



風杜神奈:もうそろそろ岩につきますか?



芝村:ええ。もう岩の上だ。



風杜神奈:カニはいますか?



芝村:トラナにとってそこは傾いたビルの上だ。トラナに同調している貴方にもそう見える。



芝村:カニはいるねえ。小さいのが。



風杜神奈:「傾いたビル……うん、でもカニもいる」



トラナ:「うん。大きくなるかな」



風杜神奈:「うーん、どうだろうね……」



風杜神奈:ビルからは何が見えますか?



芝村:水没したビルの部分は、魚の住処だ。



芝村:死体とかもありそうだが、その可能性は無視した。



芝村:戦車も沈んでるね。放棄されているようだ。



風杜神奈:どんな状況で沈んだんでしょうか。こんなところに戦車があるとなると。



芝村:海岸で戦って放棄された感じだね。もちろん、六合での話だ。



風杜神奈:なるほど。



芝村:5m位下にある。



芝村:がんばってもぐれば見れそうだ。



風杜神奈:その周囲では人の気配はないですか?



風杜神奈:船とか。



芝村:ないねえ。



芝村:ここは死の海だ。



芝村:生きているのは貴方と、この、死の海の王女だけに見える。



芝村:トラナはこう言う風景をずっと見ながら、生きているのかも知れない。



風杜神奈:「トラナ」



風杜神奈:手をさし出します。



風杜神奈:もうそろそろ戻ろうか。



風杜神奈:「もうそろそろ戻ろうか」



風杜神奈:岩のあたりに満ちてくると大変ですし。



トラナ:「うん」



芝村:トラナは小さく、カニに手を振った。



風杜神奈:神奈もカニに手を振ります。



芝村:貴方は軽い頭痛を覚える。トラナの近くでは何もかも変に見える。



風杜神奈:手をぎゅっと繋いでもいいですか?



芝村:ええ。



芝村:トラナはびっくりしたが、すぐに上機嫌になった。



風杜神奈:そのまましばらく歩きます。



芝村:トラナは小さく歌を歌っている。



風杜神奈:どんな歌ですか?



芝村:聞きなれない曲だねえ。



芝村:日本語ですらない



風杜神奈:「トラナ、その歌って、トラナの故郷の歌?」



芝村:トラナはうなずいた。



風杜神奈:「よかったら、聞かせてほしいな」



トラナ:「呼び出す歌」



風杜神奈:「何を?」



トラナ:「しんだひと」



風杜神奈:「慰めるんじゃなくて?」



トラナ:「うん」



トラナ:「パパも、これで呼んだの」



風杜神奈:「そうなんだ……ってパパって秋津さんのこと?」



芝村:トラナはうなずいた。



風杜神奈:「そうだったんだ……」



トラナ:「うん」



風杜神奈:「トラナ、また、遊びに行こうね」



トラナ:「うん」



芝村:トラナはいい笑顔で貴方を見て、歌を歌った。



芝村:どこかそれが、怖かった。



芝村:/*/



芝村:はい。時間です。お疲れ様でした。



風杜神奈:お疲れ様でした。



風杜神奈:難しいですね。すごく。



芝村:評価は+1+1(4・4リミット)です



風杜神奈:はい。



芝村:死の海の王女を引き寄せるのが貴方の試練だ。



風杜神奈:はい。



風杜神奈:何をしていいのかが今のところ見当がついていないのが現状ですが、がんばります。



芝村:うん。



風杜神奈:ただ、すごく寂しいなと思いました。



芝村:秘宝館には1・1で依頼出来ます。



風杜神奈:はい。



風杜神奈:そういえば六合の世界はすでに滅んでいるんですか?



芝村:いや。多分滅んでない。



風杜神奈:なるほど。



芝村:では、解散しましょう。お疲れ様でした。



風杜神奈:はい、ありがとうございました〜


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